増村保造特集

増村保造特集

増村の映画とかを見ていてしみじみと感じるのは「生への執着」いや,もっと単純に「しぶとさ」ってことかもしれない.
増村映画に出てくる人々は,みんなとにかく「しぶとい」.ひたすら「しぶとい」.これでもかってぐらいに「しぶとい」.
簡単に死んだりしない.っていうか殺そうとしても死なないんじゃないかと思うぐらいにしぶとい.

「好色一代男」なんかはすごく典型的な例になる気もするけど,例えばこの主人公のボンボン息子っていうのは,本当に根っからの女好きで,女の尻ばっかりおっかけているような奴.でも,その精神っていうのは徹底していて,その為に貧乏になろうが,殺されかけようが全然平気なんだよね.で,女=生みたいな感じ.
おもしろいのは,この男と一緒になる女っていうのは,これまたしぶといのはしぶといんだけど結構簡単に死んじゃったり殺されちゃったりするわけです.すると男はすっごい怒ったり哀しんだりするわけですが,次の瞬間にはもう開き直ってる.っていうか次の女に走る.そりゃあもうすごいパワー.逞しい.そう,そこに限り無い生への執着みたいなものを垣間見てしまうわけです.

他の増村映画に出てくる女達も,まさに生のパワーに満ちあふれているしね.
逆境,差別,偏見,自分達を押さえ付けてくる大きな枠組み.そんなものはあってあたりまえなわけです.
もうみんなそんな中で翻弄しまくられるわけです.
でも死なない.生き続ける.もう哀愁をそそる逞しさです.
アイロニカルな「生への執着」,生きのびようとする力.それがとても...いい.

posted by f at 2001/02/27 2:21
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