Don't forget you're going to die/1995/France/118min./colour/Xavier Beauvois
美しい一瞬つながりでもう一つ...
私がこれまで見た映画の中ですごく強烈に心に残っているものの一つにXavier Beauvoisの『Don't forget you're going to die』というのがあります.
これはたしか96年ぐらいのもので,監督さんはフランス人の若手の人だったはず.
もうタイトルからしてやるせないですけどね...ふふふ...
主人公は美術史を学ぶ男性で,彼は勉強を続けたくて兵役を避けようとあの手この手を使うんだけど,結局逃れられなくて一旦は兵役につくんです.でもある日突然解雇になる.なんでかと思ったらHIVポジティブだったということが分かる.そうしたらもう勉強どころじゃなくなって...どうせ自分は死ぬんだっていう思いにとらわれてドラッグの密輸とかに手を染めたりして,とにかく退廃的な日常へと陥っていくわけです.でもそんな日々も長くは続かず...やがてすべてのものから逃れたくて一人イタリアへと向かい,自らが憧れと情熱をもって学んできた中世の美術,特に田舎町の教会の壁画を巡る旅へ出る,と...その途中ある女性と出会い,つかの間の幸せで穏やかな一瞬を垣間見る...
そのまま幸せの中に留まることもできるのだけれども...彼は結局そんな幸せの存在に溺れることもできず,それを信じることもできず...自らにまとわりつく死の存在から逃れることもできないままにに一人列車に乗り,かつてあれほどまでに逃れようとしていた戦場へと自ら向かい,最前線に立って相手の砲弾の的になって死んでいくんです.
結局それしか選べなかった...というか死の存在しかもはや自らの生にとってリアリティを持たなくなってしまった男性の話...とも取れるかもしれません.
結局そこにしか行き着くことのできない切なさが,一瞬の美しい日々の思い出によってより強烈に浮かび上がってくるわけです.
Don't forget you're going to die/1995/France/118min./colour/Xavier Beauvois
美しい一瞬つながりでもう一つ...
私がこれまで見た映画の中ですごく強烈に心に残っているものの一つにXavier Beauvoisの『Don't forget you're going to die』というのがあります.
これはたしか96年ぐらいのもので,監督さんはフランス人の若手の人だったはず.
もうタイトルからしてやるせないですけどね...ふふふ...
主人公は美術史を学ぶ男性で,彼は勉強を続けたくて兵役を避けようとあの手この手を使うんだけど,結局逃れられなくて一旦は兵役につくんです.でもある日突然解雇になる.なんでかと思ったらHIVポジティブだったということが分かる.そうしたらもう勉強どころじゃなくなって...どうせ自分は死ぬんだっていう思いにとらわれてドラッグの密輸とかに手を染めたりして,とにかく退廃的な日常へと陥っていくわけです.でもそんな日々も長くは続かず...やがてすべてのものから逃れたくて一人イタリアへと向かい,自らが憧れと情熱をもって学んできた中世の美術,特に田舎町の教会の壁画を巡る旅へ出る,と...その途中ある女性と出会い,つかの間の幸せで穏やかな一瞬を垣間見る...
そのまま幸せの中に留まることもできるのだけれども...彼は結局そんな幸せの存在に溺れることもできず,それを信じることもできず...自らにまとわりつく死の存在から逃れることもできないままにに一人列車に乗り,かつてあれほどまでに逃れようとしていた戦場へと自ら向かい,最前線に立って相手の砲弾の的になって死んでいくんです.
結局それしか選べなかった...というか死の存在しかもはや自らの生にとってリアリティを持たなくなってしまった男性の話...とも取れるかもしれません.
結局そこにしか行き着くことのできない切なさが,一瞬の美しい日々の思い出によってより強烈に浮かび上がってくるわけです.