The Devil's Island

昨日はアジア映画祭に行こうとしたら休みの日で...なんとなく家でフレドリック・トール・フレドリクソンの『The Devil's Island』を見た.これまた救いようのない映画だった...
この人はアイスランド出身の人で,自分の生まれ育った場所をテーマにずっと撮り続けてきている人で,私はなぜか結構すきなんです.ストーリー自体はそんなにいいと思えないものもあるんだけど,やっぱり撮る対象(景色とか人々とか)がすごくいいし,あとやっぱりアイスランドについて撮る事についての切実な思いを感じるから.
彼の場合に問題なのは,やっぱり近代化とかの波に揉まれて失われていく故郷の存在なんですね.若者はみんなイギリスとかアメリカに行っちゃって,自分の生まれた場所はもうすでにはるか遠く瓦礫の中で,誰一人住んでいないような島になってしまう.発展とか進歩とか,そしてそれに憧れて取り込まれていく人々...でもそういう一連の大きな流れによって壊されていくものたち...
それは『missing angel(封題:春にして君を想う)』においては故里の島であり,『The Devil's Island(封題:精霊の島)』においてはバラック地区やそこに住む人々の心であったりするわけです.彼が撮る場所は,近代社会の廃棄物が集積された波止場とか,誰もいなくなった島,都市の中の貧困住宅地,ただどこまでも続くアイスランドの大地etc...とにかく近代的創造の裏側とかそこで失われていく何かばかりなんですね.そういうものを撮らざるを得ない状況みたいなものが,すごくすごく響いてくる所があって...
特に『春にして君を想う』のラストは何度見ても泣いてしまう...切ない映画です. 

posted by f at 2000/07/07 2:04
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