フェミニストとお皿

哲学なんてものをやっている人たちというのは、
やっぱりジェンダーとかエスニシティの問題に敏感なわけで(全部が全部そうってわけでもないけど)、まぁ、女性であれ男性であれ、フェミニストであるということはある意味当たり前な部分があります。
フェミニストといっても、まぁ、ハードコアってわけではないし、フェミニズム運動に積極的に関わってたりするわけでもないのですが。でもまぁ、自分が既存の社会に存在する構造的性差別に自覚的だ、ということを示そうとすれば、自然とフェミニストとしての立場を取らざるを得なくなる、というのはあながち間違っていないと思います。

でも、自称フェミニストな男性の中には、一緒に暮らす上で多少やっかいな人もいるわけで、
例えば、私の友人(女性)の恋人は、まぁ、普通にやさしくて、さりげなくレディファーストで、「家事は二人で分担するもの、いやむしろ男性の方が積極的にやるべきだ。」と思っているような人なわけですが、この彼、自分の恋人に絶対「お皿洗い」をさせない人でもあります。
させないというか、「君はお皿なんて洗わなくていいんだから。僕が後でやるから!」っていうのが口癖。
でも、後でやるとかいいながらなかなかやらないらしいんですわ。
で、彼女はシンクに汚れた食器を残しておくのがイヤな人なので(私もヤだ)、
その内しびれをきらして自分で食器を洗おうとするわけです。
すると「あー、君はそんなことしなくていいから。僕が後でやるって。」ってまた。
「じゃぁ今やってよ」って言うと、
「う〜ん。今は気が向かないから後で...」とのこと。

彼女曰く、
「でもさぁ、イヤなら最初から自分が洗うとか言わなければいいと思わない?」
「私、別に食器洗うの苦でも何でもないし。というか、汚い食器をおきっぱなしにしている方が気になってしょうがない。食器洗いぐらい、気が向いた人が勝手にするってことにすればいいのに、そういう所で変にフェミニストとしての意地みたいなのを感じるらしいのよね。」

政治的にフェミニストであることはいいことなのかも知れないけれど、フェミニストであることが、自分の日常生活であるとか自分の行為であるとかを過度に規定するようになってきちゃうのはちょっと問題あり、ということでしょうか。

家事なんて、結局の所、自分達の暮らしを快適にする為の行為なわけで、皿洗い一つとって、
「私に皿洗いをさせるなんて、あなたなんて保守的なの!」
なんて言う人、きっとそんなにいないのに(いや、アメリカとか西ヨーロッパには多いと思いますけど)。

「皿洗いするなんて、君は社会的に規定された女性としての表象を無批判に受け入れるのか、なんて言われたら家事なんて何にもできないよね。自分が食べたいものを作ることも許されなくなっちゃう。皿洗いにしたって、私にしてみれば、台所のシンクが綺麗な方が、自分が気持ちよく生活できるからやっているだけなのに...彼といたらいっつも汚いシンクみて生活しなくちゃいけないじゃない、ネー。」

何ごとにもバランスが大切だということです。 

posted by f at 2002/11/01 15:38
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